息子はガイドに尋ねられたと言った。
「お母さんが来てないけれど、知っているの?」
そこで息子は、「Yes.」と返事をしたという。
息子は簡単な会話なら分かるようだ。
帰国後、私はSelime村の写真を見ていて初めてこの岩山の周囲の状況をはっきりと理解した。
岩山の反対側は墓地で、たくさんの墓石があった。
遠くの方にSelime村の建物があった。
強烈な太陽の光のせいで、風景の全体を見ることができなかったのだ。
それ以外にも、息子は教えてくれた。
息子は洞窟ホテルで一緒に朝食を食べた日本人男性に偶然出会ったと言うのだ。地下都市でも見かけたという。
私も見ているのだ。
だがすごく疲れていたので、挨拶はしなかった。
私たちは彼の写真を撮ろうと思っていたのではないが、地下都市で撮った写真の中に、壁に片手をついて立っている姿が写っているので、すごく驚いた。
写真を撮る目的が彼ではなかったのに、どうして入ってしまったのかなあと、不思議に思っている。
これは偶然起こってしまったことで、彼も別の観光グループのメンバーで、観光ルートが同じだったからだろう。
ミニバスは旅行社に向かって走っていたが、突然、トウモロコシ畑で停まった。あたりには建物はない。
次に行くのはどこかなと思っていると、二人の人が車を降りた。
突然、一人がトウモロコシ畑のあぜ道に向かって走り出した。
もう一人も、その後を追っていく。
前を行く人が走りながら笑い声を上げた。
なんだあれはブロンド美人じゃないか。
彼女を追っていくのは、黒髪の男性だ。
男の方は笑っていない。真剣に走っていく。
彼らはどこへ行こうとしているのだろう。
彼らが走っていく方向には、田舎じみた農家が一軒あるだけだ。
ミニバスは走り始めた。
私は車の窓から彼らの様子を観察し続けた。
「あの農家は民宿かなあ? こんなに暑い一日、ツアーに参加したのに、彼らはまだあんなに元気なんだ!」
ブロンド美人は自由自在に黒髪の男性を操っているように見えた。
あの人たちの青春が羨ましいよ!
ミニバスはとうとう旅行社に戻ってきた。
今度は私の方から軍曹に握手をもとめた。
「Thank you very much for your powerfull and attractive(?) guide. ( あなたのガイドはパワフルで魅力的だった。ありがとう)」
「You are welcome ! (どういたしまして)」
残念なのは私たちが話を続ける時間がないことだった。