食べ終わると、私たちはホテルへの道を歩いた。
右に曲がらなければならなかった。だが、曲がるところを見過ごしてしまった。
坂道を登ったあとで、自分達のホテルを発見できなかった。
あの大きな岩のそばかな?
暗い夜空にはいくつもの奇怪な形をした岩が立ち並んでいる。どの岩も兄弟のようにそっくりだ。同じ形をしている。
息子は言った、「道に迷った。さっき来たところへ戻らなければならないよ」
奇怪な形をした岩の丘陵には何軒もの洞窟ホテルがあった。
どのホテルにも石造りの塀と入り口があった。だから、どこが私たちのホテルか区別がつかない。
そもそも私はホテルの名前を知らないのだ。旅行社のミニバスが送ってくれたとき注意していなかった。
確か、トルコ旅行社がインターネットで送信してくれた旅程表に名前が記載されていた。しかし、こんな暗い所で、カバンから旅程表を出して調べるの?
私はあんまり疲れていたので、気力がなかった。
突然、息子が言った。「あれは僕らのホテルだ! 」
息子の教えてくれた門を見たが、私にはそうなのかどうか分からなかった。 だが息子が門を開けると、中庭に見覚えのあるソファーとテーブルなどがある。中庭にはだれもいない。
鍵を出してドアを開けようと思ったが、錠(じょう)を開けることができない。
息子が代わって開けた。
この錠前の構造は比較的複雑で、以前に若いスタッフが息子に鍵の回し方を教えてくれていた。
まず最初に鍵を回す、最初の錠が外れた感覚がしたら、次ぎに同じ方向にねじる必要がある。私には理解できない。
しかし、スタッフがドアで実演して説明してくれていた。そのおかげで、息子は簡単にドアを開けることができたのだ。
室内はエアコンがないので私は窓を開けた。私は、焼きたてでホカホカしているピザパイを冷ますために、窓辺に置いた。
私たちは二人ともベッドに横になると、息子が言った。
「今日の旅行はすごく疲れたよ! 」
私も予約した一日(いちにち)ツアーがこの暑い天気ではひどく大変だと感じていた。ガイドが準備してくれたスケジュールは変えられない。明日もカッパドキアの第二日目(だいににちめ)のツアーに参加する予定になっている。
私も言った。
「私もこんな日程はきついと思うよ。だからといって、もしも明日イスタンブールに帰るとしたら、バスに10時間以上乗っていなければならないよ。
明日二日目(あしたふつかめ)のショートトリップが終わって夜行バスでKuşadası (クシャダス)に着いたら、そこでは同じホテルに3泊4日(さんぱくよっか)いるんだよ。
だからここ二日(ふつか)は我慢しなければいけない。カッパドキアからイスタンブールまではすごく遠いよ。
今イスタンブールに帰るのとこのまま旅行を続けるのと同じだ」
息子は、「それならクシャダスで同じホテルで三日(みっか)泊まれるの?」と言った。
息子は安心してそれ以上何も言わずに寝てしまった。