6月になった。私はだれですかって? 私は日本のサラリーマン家庭の主婦である。
年? あんまり、年齢のこと気にして若く思ってほしがるタイプの人間じゃないんですよね。でも、50才そこそこと言っておきましょうか。
私の息子は今年高校2年生で、来年には高3、大学受験で遊んでいる時間は無い。だからこの夏は私が息子を連れて海外旅行に行こうと思う。主人は仕事がめちゃくちゃ忙しい。
6月になってからたくさんの日本の旅行社をあたってみた。JAL・クラブツーリズム・LOOK JTB‥‥‥。しかしどこの旅行社も募集人員がすでにいっぱいだとか、最小催行人数に満たないとかいわれ、私は団体旅行の空席をみつけることができなかった。
私はローマ帝国に興味があって、というのはイタリア在住の塩野七生というローマ帝国の歴史をテーマにした作家の〈ローマ人の物語〉の崇拝者なのだ。トルコにはたくさんのローマ遺跡がある。
私の心は叫んでいた。「イスタンブールに行きたいよう! トルコに行くんだ。東ローマ帝国の遺跡を観光するんだ!」
私はインターネットでトルコ旅行というキーワードで検索した。
意外だったのはトルコの旅行社の日本語広告を見つけたことだった。
「トルコ旅行」というこの広告の最後には、もし問題があれば直接お電話下さい、わたくしたちは日本語でサービスいたしますと書かれていた。
私は海外の会ったこともない外国人に電話するのは初めてだった。
開口一番、こう言った。
「Hallo ! I am a Japanese. Please speaking Japanese staff Please.」
(もしもし、私は日本人です。日本語の話せる方お願いします。)
私の話した英語は不正確だった。
しかし先方は「私日本語話せます」と返してきた。
そこで私は大急ぎで話し始めた。
「7月下旬に4番のトルコ旅行に参加したいんですが。どうしたらいいでしょうか?」
「あなたのやらなくてはならないことは、まず航空券を買うことです。買ったらすぐ便名を知らせて下さい。この季節はトルコの国内交通もホテルもとても詰まっているんです」
この電話で私は先方に言い忘れてしまった、自分の名前や旅行の日取りを。
しかし、この事で自分のやるべきことは飛行機のキップを手に入れることや、夏休みは航空券が予約しにくいということを知ることができた。
この後、インターネットで格安航空券を探した。なかなか手に入らず、そう安くもないFIXというタイプの航空券を手に入れた。キャンセルができるが便の変更はできないというものだ。
搭乗便が確定したところで、インターネット上の申し込みフォームにクレジット番号やパスポート番号を記入して、ネットは危ないという旅行社の指示で、ファックスでトルコの旅行社に送った。
細かいスケジュールが知らされてきているにもかかわらず、4番のツアーでは真夜中にホテルに到着するのも含めると4回も夜行バスを使っているという点を見過ごしていた。そこで、出発前のわずか1か月を切ったところで、後半の旅程のトロイを飛ばしてでも良いので、昼間ひまわりの景色を見ながらのんびりイスタンブールに帰りたい、と連絡した。
すると、トロイを飛ばして飛行機でイスタンブールに帰る方法に換えてもらえた。
個人旅行なので旅程のアレンジは可能なのだそうだ。間際になって変更したがよくやってもらえたと感謝している。