部屋を出るときに、息子は私に言われないでも部屋に忘れ物がないかどうか確認した。
 エレベーターに乗って一階に下りた。
 フロントの従業員(多分支配人だろう。とても教養のありそうな格好いい男の人だ)に部屋のカードキーを渡した。
 冷蔵庫の中の飲み物を飲んでいないので、精算はないと思っていたが、支配人は一枚の請求書を示した。
 私はそれを見るとビックリした。と言うのは金額が43ユーロ(日本円で6千円ぐらい)と高額だったからだ。そんなたくさんのお金は持っていない。
 私は「これは何ですか?」と質問した。
 支配人は何も言わず、もう一人のスタッフに何か言った。
 若いスタッフは飛ぶように壁を隔てた隣の部屋へ走っていった。
 その後、戻ってくると支配人に一枚のシートを渡した。支配人はシート上の私のサインを見せた。
 私は1、2秒かかって、ようやく一昨日の晩、ホテルの屋上レストランで食事したことを思い出した。
 それで支配人に、「クレジットカードで支払いができますか?」と聞いた。
   
 支配人が私のカードで手続きしている間、私には一抹(いちまつ)の不安があった。
 というのは、2年前に台湾に行ったときに、ホテルで支払いをする時、初めは問題がなかったが、最後の晩にホテルの中で晩ご飯を食べたときに、クレジットカードが突然使えなくなったのだ。その時、私は2種類のカードを持っていたが、そのうちの一枚が使えたので、助かったのだ。
 私は心配しながら支配人がカードを機械に通す手元を見つめた。
 支配人がレシートをくれたときにはホッとした。
   
 退室の手続きが終わったあとで、旅行社が迎えに寄こした二人の男性を見た。どうしてだか分からないが彼らは満面の笑みを浮かべて、私たちのスーツケースを車に運んだ。
 彼らは車の前部座席に、私たちは後部座席に座った。
 車が走り出すと、息子に紙パックのジュースを二つとビニールの小袋に入ったクッキーをくれた。
 息子は彼らのサービスが嬉しいのか、「こんなのもらっちゃったよ・・・・!」と愉快でもあり、恥ずかしくもあり、はにかんだ顔を見せた。
 空港に着くと、一人が私たちのスーツケースをカウンターの前に運んだ。
 彼はエコノミーで良かったんですかと質問した。
 私は10リラやった。(この金額は私に言わせればやり過ぎな額だ。)
 彼らはどうして満面の笑みを浮かべていたのだろう?
 旅行社の社長がしっかりと私たちにサービスするようにと言いつけたからだろうか?
 私が社長に50ユーロ(日本円にして7500円相当)をあげた結果なのだろうか?
 空港で搭乗手続きをするとき、周りの人はみんな中東から来た家族連れだった。トルコに来たときよりもずっと今の方がトルコにいる気分がした。
 時刻はすでに午後10時を回っているので、辺りの子供たちはみな眠たそうで、父親母親たちが子供を抱き上げている。
   
 出国手続きが終わると、自分達の乗る飛行機を待合室で待った。
 私たちは土産物屋でトルコの通貨を全て使い切ってしまう必要があったので、陶器製のコップ敷(コースター)二枚と、プラスチックでできた飾り物を二つ買った。(これで使い切った。)
 このとき、他の搭乗待ちの観光客たちが紙箱入りの菓子の所にいるのを見つけた。
 カウンターは混雑していた。
 私は買うことにした。
 もうカードを使うしかない。現金は使い果たしている。
 6箱まとめて94リラで買った。ひと箱当たり千円相当だ。この額はアジア側に行ったときのバスステーションで見た似たような菓子の三倍もしている、高すぎる!
   
 私たちの乗る飛行機は時刻通りには出発しなかった。
 23時50分の出発が一時間半も遅れたのである。
 私たちは疲れているし眠たいし、搭乗口で列に並んだときに、私は息子に言った。
 「あたしゃ、トルコ語も聞き飽きたぜ!」
 私たちの周りにいた日本人の観光客がビックリして私を見た。
 日本人の女性がそんな乱暴な言葉を使うなんてメッタに見たことがないからだろう。

 私は乱暴な話し方をしたことが恥ずかしかった。

夜の10時アタテュルク空港、出国手続きが待っている、やや緊張するね。

バカンスも終わりだな、家に着くまでもう一踏ん張りしないと。

僕哲平です。母ちゃんひどいですよね、僕が英語ができないのを良いことに、好き勝手放題で!皆様、最後までおつきあい下すって有り難うございました。

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