古代の道路のモザイク画が完全な形で残っているわけではないが、残っている部分だけでも、芸術の上でも、考古学の上でも鑑賞に値する。
 モザイク画のテーマは野生動物と人物の闘争だ。
 家畜と農民の子供たち、野生動物と鳥類の闘争。絵の中には皇帝や貴族などの上流階級の人物は登場しないようだ。
   
 私は記念のためにたくさんのモザイクの写真を撮った。
 そのあとで、階段を登ると、学芸の専門家の女性がまさに白い紙の巻物をモザイクの石板の上にかぶせているところだった。
 彼女たちは下から上へ、左から右へとゆっくりと巻紙をほどいてモザイク画にかぶせていく。
 使っている紙は白いのだが、貼り付けると透明に変わっていき、白い紙を透してモザイク画を見ることができる。
 多分、石板の上をあらかじめ何かの液体で湿らせてあったのだろう。
   
 入口付近に本の販売所を見つけた。
 博物館のガイドブックを見ているとちょうど女性職員がやって来てたずねた。「何語の本がいりますか?」
 私は日本語のを下さいと答えた。
 昨日見そびれたカーリエ教会(コーラ(ギリシア語で郊外という意味))と1週間前に見たアヤソフィア大聖堂(ハギアソフィア(HAGIASOPHIA))の日本語版の二冊を買った。
 二冊とも24リラだった。
 私はモザイクの写真はたくさん撮ったので、モザイク博物館のガイドブックは買わなかった。
   
 博物館を出た後で、アラスタバザールに戻った。
 先ほど見つけた刺繍のクッションが目当てだった。
 私は「中の詰め物はいりません。カバーだけ下さい」と言った。
 私は5枚買い、日本円で支払った。
 商店の主人はトルコ帽をかぶったお年寄りだった。
 彼はクッションカバーを包んだプラスチックの袋を持ってきてから、私に商店の壁に掛けてある刺繍の壁掛けを見せようとした。
 壁掛けは大変大きくて、模様は私が買ったクッションと同じだった。
 値が張るに違いない。私はすぐに商店を出た。
   
 日本に帰ってすぐの頃、私はクッションを居間のソファーの上に置いた。
 しかし、夫が遠慮なく脂ぎって光った頭をクッションに押しつけるので、もうちょとで私の宝物を汚されてしまうところだった。
 それで私はクッションを押し入れにしまってしまった。こんな事ならクッションでなく、高かったけれど壁掛けにするんだった。
   
 アラスタバザールで買い物をしていたら、突然、小雨が降ってきた。
 私たちはリュックサックから傘を出した。
 このままトプカプ宮殿に行きたかったが、息子は「行かない方がいい。みやげものが重いからね。ホテルに帰ってクッションを置いてからまた行こうぜ!」と言った。
 私が買ったのはクッションカバー5枚と、本2冊だ。そんなに重くはない。しかし息子の言うのも一理(いちり)ある。
   
 ホテルの部屋に戻ると、息子はベッドに転がって、ちょっとも動こうとしない。
 そのうちすぐに昼ご飯の時間になってしまった。

 私たちは冷蔵庫にしまってあった昨夜の屋上レストランで食べ残した食べ物(焼き肉とフライドポテト)を取り出した。冷たくなっていたが味は悪くなかった。


植物と羽ばたく鳥。グリーンと白の背景が美しい。

この人物の肩の皮膚は数段階のピンクの
チップを使ってグラデーションをつけている。

家禽を追い立てる男性。エサの葉っぱとこえだを
手にしている。

空想の動物・麒麟が爬虫類をくわえている。一方ではピューマがガゼルを食いちぎっていて、あちらもこちらも血が滴っている。

前述のピューマを拡大した。

猛禽類が蛇と格闘している。草原でノンビリと草を食むガゼルの様子をうかがう槍を持った男。

岩に生えた苔か草を食むガゼル。

ライオンの顔。

切り株から芽吹いた新芽を食むガゼルを
うかがう槍を持った男

これは壁に貼り付けて展示してある拓本? 上の方の紙が破れているのが見える。襲いかかる虎に槍を持った男が二人がかりで対峙している。

虎の顔の拡大

通りの両替商

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