今日の観光スポットは、ローマ時代の貿易都市エフェソスだ。
 旅行社は、8時半に私たちを迎えに来るので、ホテルを出た。
 私は書いた手紙をフロントの例の英語の話せない従業員に渡したが、彼はくだんの如くカウンターの下に突っ込んだ。まるで英語のできる人に連絡する必要がないかのようだった。
 私はクレジットで飲み物の支払いをした。
 その他何の話もしなかった。
 ホテルの入口の近くのイスに座って、旅行社の車を待った。30分過ぎても、まだ来ない。この時の息子の様子は情緒的によろしくなく、頭を垂れていた。
   
 ようやく、車が来た。
 私たちは自分のスーツケースを車の近くに引いていった。
 ドライバーが息子に何か言っていた。息子は荷物を運転席の近くに持って行った。
 が、私は習慣的にスーツケースを車の後部のトランクの下に持って行った。
 この時、一見(いっけん)パナマ帽のように見える比較的ツバの狭い麦わら帽をかぶり、黒いサングラスをかけた精悍な男性(メキシコ人か南米人ぽく見えた)が、突然大声で叫んだ。
 「Don't put your bag here ! Listen to him ! (ここに荷物を置いてはいけない! 彼の言うことを聞きなさい! )」
   
 彼の話し方は礼儀にかなっていない。
 こんな風に言うべきだ、例えば、「Could you put your bag there ? Our driver will take care of your bag. (お荷物は運転席のそばに置いていただけませんか? 今日はお客様の荷物は運転席の近くでお預かりしますから。)」
 そして当然微笑んでいるべきなのだ。
 しかし、彼はまるで部下に命令するアラブゲリラの戦士みたいに見えた。
 もしもそれと違う点があるとすると、自動小銃で私たちにあちらに行けと方角を指し示さない点だけだ。
 車に乗ってから、私は息子に言った。
 「私はガイドに怒鳴られた! どうしてガイドは初対面の私を大声で怒鳴りつけるんだろう?」
 私は心中穏やかではなかった。
 「あの人の様子はまるでアラブゲリラの戦士だよ。私ちょっと怖いなあ」
 私の想像では、旅行社の車が遅れたのは、ここに来る前に手違いがあって、時間を無駄にしたのだ。
 だからガイドは誰に対しても怒っているのだ。
 しかし、私は客だよ、どうしてガイドは私を大声で怒鳴りつけるんだい?
 彼は英語ができないのか?
 自分が用いている英語の醸(かも)し出している雰囲気が分かっていないのか?
 一昨日(おとつい)は病院で夜を明かした。
 しかし二日後の今日は観光に参加でき、午後の6時には飛行機でイスタンブールに戻ることができるのだ。
   
 何でもかんでもうまくいくということはない。私は今日は半分のできばえでも良しとしなければならないと心に決めた。

港にもまぶしさが戻ってきた。

ホテルのエレベーター前の椅子とテーブル。前に訪ねたパムッカレはローマ時代から綿花の産地。白一色生成りの綿織物の織りや糸貫で文様を付けるのが地元の伝統工芸だ。

ヨットハーバー。
自家用船でクルーズを楽しんでいるんでしょうね。

朝靄も晴れて行く。

東の山を背にしたクシャダスの住宅地にも
暑い夏の日差しが当たってきた。

ホテルで働く従業員たちのアパートだろうか、
子供たちの姿は朝早すぎて見られない。

日差しを遮る工夫。パラソル二つでしっかり防御。

ホテルのマネージャーにお手紙を書く。

我々の部屋からの朝7時頃の眺め。
これが見納めか、エーゲ海。

すっかり明るくなった。

エフェソスに向かうミニバス、
客拾いで知らない街角に停車してしばし。

この柱もローマ遺跡の一つだろうが
説明に値しないのだろう。通過してゆく。

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