昼食を食べ終わるとバスはホテルのある街クシャダスに引き返した。
 今日の午前中ペルガモンに向かったときは、あんなに短かった行程が、とても長く感じられた。道路で見受けられた面白いものとしては、農産物を積んだ貨車を牽引するトラクターだ。
 突然バスはガソリンスタンドに停まった。
 私たちはここでトイレ休憩(きゅうけい)をとった。
 私一人でガソリンスタンドと商店を通りぬけて、トイレに行った。この時見たものはと言えばトルコ式便器の中の、自分が出した太くて長くて、黒褐色のウンコである。
 私は変だぞと思った。というのは、毎日朝、規則的に排泄しているのに、どうして私のおなかにこんなたくさんのウンコがあったのだろう?
 ともかくもこんなに大量に排泄したことは体に悪いことではなかろう。
 私がバスに戻るときにプールで泳ぐ子供たちの歓声が聞こえた。
 このガソリンスタンドのそばはこの地方の買い物や、文化や、娯楽のセンターになっているようだ。自然の水に恵まれていないので、この様な水泳施設がいるのだろう。
   
 バスが見あたらなかった。そして、ガソリンスタンドの屋根の下にかがんでいる息子を見つけた。
 息子は目の前にあるバスを見ていた。
 観光客はみなバスを降りたようで、バスのそばでおしゃべりをしている。
 太陽は西に傾いているとは言え、気温は高くつらかった。
 私たちのバスは、今、水道のホースを使って洗われている。洗車しているのは、私たちの旅行社のスタッフだった。
 私は少し不満だった。というのは、日本ならば客を待たせて車を洗うなんて考えられない。観光バスはまず走って目的地に着く、その後で洗車しなければならない。
 しかし、スタッフは大声でおしゃべりをしている。まるで洗車を楽しんでいるようだ。
   
 私はこの機会を利用して、商店で土産や飲み物を買うことにした。
 店にはきれいな包装の石けんが売られていた。ピンク色のはバラで、緑色のはオリーブの石けんだ。
 6個を選んで、カウンターに持って行った。
 私は20ユーロの紙幣を取り出して若い女の人(スカーフをしていない)に言った。
 「ユーロでこれは買えますか?」
 彼女は紙幣を受け取って、「OK !」
 しかし、彼女はお釣りをくれなかった。石けん1つは6リラで、全部で17か18ユーロなのにと思ったが、お釣りはあきらめなければならないな。
 そのあとで、ミネラルウォーターとアイスクリームを買った。この時は自分のおなかが良くないと気づいていなかった。
   
 バスがホテルに着くと、ガイドは言った、「明日、あなたたちはプリエネ(Priene)、ミレトス(Miletos)、ディディマ(Didyma)を見に行きますね?」
 私は「Yes」と答えた。
 ガイドは旅行社の車は午前11時にホテルに迎えに来ると言った。とすると、このガイドさんに三日間もお世話になるのかと思った。
 ホテルの部屋に戻ると、遠くに見えるギュベルジン島手前の海にエーゲ海周遊の豪華客船を見つけた。
 あの船に泊まっている観光客は昼間はバスに乗ってペルガモンやエフェソスなど近くの古代遺跡を観光するのだ。
 私はその船に乗ったわけではないのに、白くてきれいな客船の威容にエーゲ海のロマンチックな風情を感じさせられた。
 しかし、私のお腹(なか)の中ではロマンチックとは言いがたい徴候が正に進行していたのである。
 一方では私の息子は意気軒昂(いきけんこう)で「俺は泳ぎに行ってくるぜ」と言って、ひとりでプールに行ってしまった。
   
 私は何回かトイレに行って、用を足した。
 下痢だった。しかし、ヨーロッパに旅行に行ったときや、仕事が特別に忙しいときに下痢をすることはしばしばあった。だからこの時は心配していなかった。
 私はカメラを持って、下に降りていきプールサイドで息子の写真を撮った。
 私が写真を撮っている時、一人の若い男性が、自分が撮られていると思ったらしくて、私の方が困惑した。
 息子が子供の頃通っていた水泳スクールでは、毎年記念写真を売っていた。しかし、一枚何百円もするし、上手に撮っていない。だから、今回はいい機会だ。

プールサイドにレストランのテーブル。夕食後に泳ぐ人は見かけなかった。

クシャダスのホテルから望まれる隣のホテルのプールサイド。ホタテ貝に載ったビーナスがいる。ギュベルジン島には地中海周遊豪華客船の姿。

夕暮れのクシャダスの港。

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