私たちはミニバスに乗ってレストランに行った。
 建物は白い二階建てでまるで地中海のリゾート村のようだ。
 レストランの屋外にベランダと階段がある。
 レストランに入ると、ヨーロッパ人の女性が言った。
 「このレストランはホントにキレイね!」
 ガイドも答えた。「私もそう思うわ!」
 白いテーブルクロスの掛かった長方形のテーブルに着席する。
 レストランの中央にはバイキング形式の円卓があった。
 私と息子は好きなように料理を自分の皿に盛りつける。
 テーブルにはたくさんのケーキがある。
 私はトルコの独特の料理を食べたあとでこれらたくさんの種類のケーキを食べようと決意した。
  
 私たちは長方形のテーブルの端に席を取った。私の右が息子で、左が以前私の職業を尋ねた黒い髪の60才ぐらいの男の人だ。
 自分の皿の用意ができたところで、その男性に向かって言った。
 「私はローマの文化や歴史が好きで、トルコにはたくさんの名所旧跡があるので、トルコに旅行に来ました」
 彼からは反応がなかった。
 私は言い終わると、一口料理を口に入れた。
 しかし、間の悪いことに食べ物が気管の方に入ってしまった。海外のレストランで英語を話さなければならなかったからだ。
 しかも、初めて会ったばかりの男性とだ。こんな状況では私は緊張して舌がうまく動かなかったのだ。
 ここで食べ物をむせてはき出すか、あるいは激しく咳き込むか、どちらもいやだった。
  
 テーブルを離れるときにその男性にすみませんと言うことができないままに急いで、トイレに行って大きな音で咳をした。
 2、3分してテーブルに戻り、再び緑色のアスパラガスらしいものを口に入れた瞬間、その野菜の強烈な辛さにびっくりした。
 なんと私が口にした物は光沢はないが、ある種類の唐辛子だったのだ。
 私は欧米人が口の中の物を決してはき出さないと思っていた。もしも吐きだしたら、マナー違反だ。
 そこで、私はまた立ち上がり、食堂を出てトイレに行った。
  
 戻ってきたとき、私は息子に席を立った理由を説明した。
 だが、その男性には釈明をしなかった。
 というのは、その時彼はさらに左側に座っている欧米の二人の女性と話をしていたからだ。彼はもう私に対する関心がないようで、一生懸命彼女らとしゃべっているのだ。
 私は自分がお行儀が悪かったことは棚に上げて、こう思った。
 「そうでしょうとも。あなたたち欧米人は欧米の白人女性に興味がおありでしょうよ。当然よね!」
 私は少し腹が立った。このように私は黒い髪の男性とおしゃべりするチャンスを逸した。
  
 昼ご飯のあとで少し時間があった。
 私は一人で階段を下りていった。
 レストランの外には何も変わった建物もなく、駐車場に何台かのミニバスが停まっているだけだ。
  
 階段を下りきると建物の下に例の男性がいるのを発見した。
 この時、すでに私は自分の方から挨拶をするのはやめておこうと決心してしまっていた。
 彼は私の顔を見たが、一言も言わない。私には声を掛けるのはやめよう、私の方から自分に挨拶をすべきだ、と思っていたのかもしれない。
 彼の顔がだんだん険悪な様子に変わっていき、不愉快だというように私の顔を睨みつけた。
 私は自分の顔が困って引きつっていくのが分かった。ホントにばつが悪い!
 帰国後の今でもレストランでの私が失礼だったことについて謝っておけば良かったと後悔している。
 ひょとして彼は北アフリカのイスラム諸国の人ではなかったか。英語は駄目でもヨーロッパ女性とは仏語で話していたのだろう。

 

アバノスのレストラン、バイキングのテーブル

料理の数々

スイーツの数々

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