発券所の窓口には、入場券は10リラと表示してある。私たちは20リラ必要だ。財布の中を見てみると20リラがないのだ。
 しかし私は慌てなかった。トルコに来て以来どこの商店でもユーロが使えた。
 そこで私は窓口に近づいて係員にきいてみた、
「ユーロで払ってもいいですか?」
 ところが案に相違して係員はNOと言う。
 人の邪魔にならないように売り場から離れると、独り言で
「あらー!ここまで来てお金がなくて入れないなんて・・・・!」
 一生懸命トルコリラを探すのだが見つからない。
 私は息子にリラを持っていないか聞いた。
 二人あわせて19リラがみつかった。
 19リラ、あとたった1リラ足りない!
 路面電車の通りに交換所があった。私は考えた。1枚入場券を息子に買ってやり、私ひとりが坂道をおりていってお金を換えて戻ってきたらどうだろうか?
 駄目だ、駄目だ、外国で子供一人置いていくのは危険だ!
 息子はとても疲れているように見えた。二人いっしょに20分歩いて行くのは息子は承知すまい。電車道を歩いているときに交換しなかったのが悔やまれる。ほんとに残念だ。 
  

  と、突然ひとりの中年の女の人(たぶん英語圏の白人)が私に近づいてきて言った。
「あなた、クレジットカード持っていない? ここではクレジットカードで入場券が買えるわよ」
 この女性は私たちの困っている様子を見て、良い方法を教えてくれたのだった。
 クレジットカードとは意外だった。たった20リラをクレジットカードで払うとは思いつかなかった。
 私は彼女にお礼を言って、すぐに試してみた。
 係員は「OK」と言った。
 その女の人は連れの友達に言った。「主人と旅行したときにお金がなくて、クレジットカードで買えることを発見したのよ」
 私は何度も何度も彼女にお礼を言った。このあと国立博物館に行くたびにクレジットカードを使うことになる。

 帰国してから、使ったお金をひとつひとつ書き出したがどうして考古学博物館の入場券を買うときに20リラがなかったのかわからなかった。
30リラそこそこはどこに行ってしまったの?
全然思い出せない。
  

 トルコリラはトルコ以外の世界では通用しない通貨だ。大概の銀行では紙幣はともかくリラのコインは日本円に交換してくれない。だから私は日本円をリラに交換したくないと思っていた。
これ以後、この出来事に似たようなことで困ってしまうことが起こるのだが。

 

真昼のブルーモスク。リング状ごまパンのシミットのスタンド

アヤソフィア裏の坂道。トルコの伝統的喫茶スタイル。

アヤソフィア裏手の坂道

アヤソフィア裏手の坂道。プチホテルが多い。

考古学博物館

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