7月27日の早朝5時半、トルコ航空047便は定刻どおりイスタンブール(ATATÜRK(アタテュルク))国際空港に到着した。
 旅行社が手配したスタッフが一人私たち親子を迎えに来て、一台の白い車に連れて行った。車を待つあいだ私は彼の名前を聞いた。
 すると彼は「Ibrahim(イブラヒム)」と答えた。
 彼が私の名前を聞いたので、私は自分と息子の名を紹介した。息子が最初から全然話さないので、彼は、息子が英語を話せないのか?と聞いてきた。
 私は、息子は学校で英語を習っているが、実際に英語を話す機会が無いと説明した。
 この私たちを迎えに来た男の人の仕事は観光客を車まで連れて行くだけで、私たちが車に乗っても彼は乗らなかった。この時はまだ送迎のスタッフとは互いの自己紹介の必要が無いことは分からなかった。
  
 車が動き出すと、やっとのことで気分が落ち着いた。そとは薄暗かった。車窓の右側は大海原である。真っ暗な海上には何艘もの明かりをともした船舶が浮かんでいてとても美しい。私たちは気分が高揚してロマンチックな風景に見入っていたが、30分たったころ車は突然左に曲がって小さな丘の坂道を登っていった。ビルの密集したところで車は止まった。坂道の両側の4、5階建ての建物はみなホテルだった。
  

 我々がホテルに着いたのは、早朝の6時だったが、特別にチェックインさせてくれた。私たちは4階の客室に入った。このホテルの名前はギリシャの女神の名前だった。
 客室の窓から見る空は曇り空のような薄暗さだった。日本とトルコの時差は6時間だ。現在、日本は午後1時半。トルコは朝の7時半。
 私は腕時計を補正した。だが息子は「僕はやらない」と言った。
 この13日間の旅行の間じゅう、眠くなるたびにいつも言うのである。
「今、日本は午後9時なんだ、眠たくって当然だろ?」
 こんなふうにして起きていなければならないとき、外にご飯を食べに行かなければならないとき、いつもいつもベッドの上で眠い眠いと私を困惑させたのである。

 

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